情報システムを開発し、導入するプロジェクトは約半数が「失敗」していると言われています。
15年前の失敗率は「7割超」とのデータもあるため、15年前に比べると成功率は上がっていますが、それでも半数は「失敗」しているのです。
なぜ問題が解消されないのでしょうか。
今回は、プロジェクトマネジメントにおいて成功するための秘訣を解説していきます。
プロジェクトとは?
これまでにプロジェクトを経験したことはありますか?
PMIが制定しているPMBOK(第5版)によると
「プロジェクトとは、独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施する有期性のある業務」とされています。
つまり、「プロジェクト=仕事」ではありません。
会社などの通常業務や、継続的な運用管理、あるいは改善活動などは、特に開始と終了が定義されていないので、「プロジェクト」とは呼びません。
特定の期限までに特定の建築を行う、製品を開発する、システムを構築する、などを「プロジェクト」と呼びます。
- 始まりと終わりがある
- 業務内容の一部もしくは全てに独自性がある
プロジェクトの成功/失敗の定義とは?
プロジェクトの成功/失敗は、プロジェクトで合意された条件を満たし、決められたプロジェクト上の目標が達成されたかどうかによって決まります。
具体的には、以下の条件を満たした上で目標を達成する必要があります。
- スコープ ・・・ 機能や品質、ある一連の業務など
- スケジュール ・・・ 新商品の発表イベント、発売日など
- コスト ・・・ プロジェクトで発生する費用な人的資源、時間など
上記を踏まえると、以下の事例は成功/失敗どちらに分類されると思いますか?
「発表イベントには1日だけ間に合わなかったが、先方が求めている機能や品質を決められた予算内で開発を終えることができた。」
どうすれば失敗しないのか?
プロジェクトを成功させるためには、単にプロジェクトの目標を達成するだけではなく、関係者間で合意された制約条件内での達成が必要です。
また、制約条件は互いに関連性があるものが多いため、何か1つを優先すると他の制約条件に影響が出てしまいます。
これらの制約条件を満たしつつ、目標を達成するために「プロジェクトマネジメント」が必要なのです。
プロジェクトマネジメント事例「カーナビ」「乗換案内」
分かりやすい事例として、カーナビゲーションシステムや電車の乗換案内があります。
これらの基本的なユーザーインターフェースは以下のような流れになります。
プロジェクトスタート前の準備
- ゴール(目的地)を設定する
- 制約条件を設定する
- 表示されるいくつかの候補から1つを選択する
プロジェクトスタート
- 到着時刻や目標の方角が表示される
- 道中、制約条件の変化(渋滞、ダイヤ乱れなど)により別の候補ルートが提案される
- 別の候補を選択した場合、新ルートでのナビにしたがって行動する
プロジェクトマネジメントとはずばりカーナビのようなものだと考えます。
カーナビも世に出た当初はまったく当てにならないシロモノでしたが、時間とともに精度を上げ、今では外出時になくてはならない必需品となりました。
プロジェクトに合わせてゴール設定、制約条件の設定、迅速な情報提示、決断を下す人の選定を適切に行うことで、かなりの確率でプロジェクトを成功に導くことは可能になるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
プロジェクトは規模や実施期間、関係者によって成功の定義も異なりますし、進め方も異なります。
「型にはめて決まり事にしたがって実行していけば必ず成功する」
というようなものではありません。
しかし、きちんとポイントを押さえることで成功の確率を大幅に上昇させることはできます。
また、早期に失敗しそうなリスト要因を発見することで、傷口が広がらないうちにリカバリーを行うことも可能になります。
以後、複数回に分けて「プロジェクトで失敗しないために知っておくべきこと」について紹介してまいります。
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