日本でIT人材不足が起きている原因について【対策と必要性】

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このブログでは、情報システム部門の方や社内 SE と呼ばれている方、会社の中の IT の担当者の方々に向け、「ITに関するニュース」などを通してお役立ちとなる情報を発信しております。

今回ピックアップさせていただくテーマは、『日本でIT人材不足が起きている原因について』です。

早速、ご紹介していきます!

IT人材の多くはベンダー企業に所属

先ず初めに IPA (独立行政法人 情報処理推進機構)出典の「2017年の IT 人材白書」のデータをピックアップいたします。

日本における IT 人材の所属は、72%がベンダー企業、残り28%がユーザー企業です。要約すると、SEやエンジニア・プログラマーがどこに就職しているかを鑑みたとき、大半が IT 企業に就職をしていることになります。

当然のようですが、欧米諸国と比較をすると、大きな違いがあります。アメリカにおけるITエンジニアが IT 企業に勤める割合は、34.6%となります。残りの65. 4%はユーザー企業に属しています。

つまり、IT企業 以外の企業に就職しています。具体的には、製造業やサービス業など、様々な企業に IT 人材がいることになります。アメリカは割合に大きな差がありますが、カナダでもITエンジニアの所属は、44%が IT 企業、56%がIT企業以外のユーザー企業というデータがあります。

比較すると、日本だけがベンダー企業に所属するIT人材の割合が非常に大きいということになります。例えば、ユーザー企業の中で、業務の効率化を図るため新しい基幹システムの開発をしようと目論んだとします。しかし、ITエンジニアはその企業の中にはいないケースの方が多く、アウトソーシングをして、システム開発をすることになります。

国内の IT 企業もエンジニアを多く抱えている企業より、少人数で経営している会社の方が圧倒的に多いです。このような体制は中小企業では更に顕著に現れます。そのため、多重請負で開発を行うケースが非常に多く存在します。多重請負を行うことで、ユーザー企業から発注先の ITベンダー企業に対して、時間をかけて要件を伝えることになります。そして更に下請けにその要件を伝えるという繰り返しの作業が発生し、コミュニケーションの労力、マネジメントする労力、スケジュール管理等も含めて、多くのコストが発生してしまいます。

結論、システム開発を外注した場合、社内に ITエンジニアを雇用している場合と比較して、多くのコスト(金額)を外部に支払うことになります。更にコミュニケーションギャップや、社内の属人的(独自)業務の吸出しなど、要件がうまく伝わらない部分も発生し、コストが大きく変化してしまう恐れもあります。

ユーザー企業の7割がDXに対して積極的

ユーザー企業の7割がDXに対して積極的_イメージ

昨今のコロナ禍の情勢においてDX や IT 化にすることで仕事の変化や業務を効率化していく必要性が出てきました。2020年に IPA が出した人材白書によると、ユーザー企業のおよそ7割近くが DX に取り組んでいるというアンケート結果も出ています。多くの企業が DX 化や IT 化に向けた動きが積極的に行われていることがデータとしても表れています。

IT人材の獲得には「中途採用」がメイン

IT人材を社内に引き込む方法としては、中途採用が多いです。外部から IT 技術を持っている人材を採用していこうという傾向が非常に多く現れています。

一方、IT人材を採用しているユーザー企業の課題はITエンジニアの質と量です。質に関しては先進的な技術です。AI の知識、 IoT の知識、 RPA 等、ワークフローを IT で最適化していく等のスキルが不足しているというアンケート結果が多く出ています。量としては人材不足が非常に顕著に表れているというのが現状です。

DXレポート

この様な状況のなか、経済産業省から出ている DX レポートというものがあります。
インターネットで誰でもダウンロードができる資料のため、参考にして頂ければ幸いです。
DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~

レポートでは、IT 化・ DX 化が進まない状況が続くと、2025年に、企業の成長の目詰まりが起きるというデータが出ております。

更に2030年までの5年間で、より大きな損失が出ると言われています。具体的には、2025年以降で最大1年あたり12兆円の経済損失が生じる可能性があると言われています。このような状態になっている理由は、先程申し上げた通りアウトソーシングする際に、 IT ベンダー間での丸投げや、多重請負という部分がある為、企業の中で必要とされている業務改善に繋がっていかないなどの問題が挙げられます。

加えて企業の中でも、役職や部署での縦割りが多い為、各部署でデータを活用しきれていないという問題もあります。理由としては、カスタマイズが多く行われているために、ブラックボックスになってしまっており、「なぜこのデータが出てくるのかがわからない」、「どの従業員に聞いても、前任者がいないなどの理由で分からないので活動ができない」、「しかし業務としてこのデータを使わなければならない」という様なデータの活用になっている事が例として挙げられます。情報システム部門としては、このような課題の解決は、常に重要視していると思います。

DXについてはこちらの記事で詳しくまとめておりますので、合わせてお読みくださいませ。
【DXで生産性が140倍の差に!】情報システム部門における中国と日本の違い

IT人材不足への対策と必要性

最後に、このような問題を踏まえて、情報システム部門や中小企業に解決策をお伝えしていきたいと思います。

まず企業に対しては、海外に比べて日本の IT 投資額は非常に少ないと言われており、内製化に向けた働きかけをしていきたいと考えております。つまり社内でプログラマーや開発・業務改善ができるような人材の確保続けることの必要性が出てきております。

IT人材の確保は、経費ではなく、「会社を継続させていくことために必要なこと」「売上向上に繋がる投資」とより多くの経営者が捉えていく必要があります。本業には直接繋がらない場合でも IT の強化に繋がる人材の確保は急務です。

常駐の情報システム部門に関しては、企業の存続をかけ、IT 化に向けた働きかけに注力していただく必要があると考えております。誰でもできるような簡単な業務をできるだけ自動化やアウトソーシング化をしてこそ能力を発揮できます。情報システム部門の人がスキルを発揮することに集中できることが非常に大切だと考えております。

 

本日は「日本でIT人材不足が起きている原因について」を解説させていただきました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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